第五話 白い狼 [小説アーマードギア]

第五話 白い狼

「コオオオオオオオッッ」

「この低周波音AGかっ!?」

はしご車から慣れたように軽快にAGに飛び乗る

その赤いタンク型のAGは

頭部は前方にマスク状の三次元解析カメラがついた

トカゲを思わせる顎のフレームが付いている、胴体は厳つい箱型の形状に

重い腕部と重火器を支える為の湾曲形状のでかい肩をしていて

動力はモーターだけではなく筋肉の組織に似たワイヤーで構成された

マニュピレーターをしている。脚部は八輪式コンバットタイヤで

後部と前方に高い段差でも移動できるようハイブースト(スラスター)を

装備、右肩に105ミリキャノンに左肩に自立偵察機フライアイ

そして両腕式レールガン「DORAGON」は両サイドにマシンガンを装備

装填時の牽制に使う。

ローは防弾に防火作用のある分厚いAGパイロットスーツ

を着ていて頭にはヘルメットは旧型FCSに

一部の火器が目視光学標準器(DVO)で連動している

AGと思われる低周波音の音が次第に大きくなり

ローはタンク型AGのハッチを開けメインカメラを

支えに降りようとする。その時

「ズドオオン」

一発のキャノン砲らしき弾丸が分厚いコンクリート

を突き破りコンクリートと鉄筋の破片が炸裂する。

「ズドン ズドン ズドドン ズドン」

壁を打ち破る、毎分6千発は軽く超えてるであろう弾丸が驚異的な

破壊力で工場内をハチの巣と化した。

ハッチを閉め事前に全計器、全アクチュエーター神経回路チェック完了

されており、コールドフュージョンジェネレーターも50%の待機状態である

コクピットの座席に座りそそくさに四点式シートベルトをはめる、

朝方の五時の為、操縦士用暗視装置(PNVS)が既に作動し

ローの360度全周囲を各カメラの映像が流れる

周囲の状況は爆炎とサイレンの光と音に警備員の叫びの声がした

「敵は・・・攻撃を止めた。」

すぐ様、バーハンドルを握り締め、脳波によって本人と識別したヘルメット

でFCSが無線通信で本人と認証

「本人と認定 こちらリオレイン、現状況

 危険周域Sクラスと判定し、全機能を戦闘行動最適化します。」

「ちっ シュミレーターでは熱源で壁越しロックできるが。」

コンピューターのボイスが入りローは無線でハミルトンに大声で言う

「ゲートを開けてくれ!」

飛び散った破片や着弾の爆風で負傷した兵士を

ふせながら移動し救急措置をやっていたハミルトンが近くの

ゲートの開閉ボタンを押した。

ゲートが左と右に両サイドに開いていく。

外のブリザードが赤いAGに降り注ぎ視界を曇らせた

ハイブーストで機体を強引に並行移動させバーハンドルを前方に押し倒し

タイヤを走らせる

曇り空から暗い大きな影が宙を舞いリオレインの前方を覆った

次の瞬間

「ズガアーーーーン!!!」

白いタンクのブレードフレームがDORAGONを押し切る

「ガガガガッ 」

赤い火花が飛び散り

「フォオン フォオン」

DORAGONの砲身が回転しながら吹き飛ぶ

高度な操縦技術を超えた機体と一体となった攻撃、オロチはもはや

巨大な幻獣を操つっているかの様である

「!!!スラスターで機体を浮かせて来るとは。」

半乗りの状態で両者は互いに意思の疎通を図る様に睨みあった

「1Gてのは身にしみて重いだろ!カメハメハロー!」

人を嘲笑うような冷たい表情でリオレインを見下げ言う青年ジャッカル

リオレイン起動3.jpg

「お前が例の! ほんじゃあー行くぜ!!ちゃんとつかまってろ!!」

リオレインの前タンク部分に半乗りの状態を利用しハイブーストを

後方に噴射させ八輪式コンバットタイヤをフル駆動させながら

即座に前方にあった燃料庫に突っ込む

爆炎が上がる即座にトリガーを引き

副砲のマシンガンを密着した状態で発射

「ウイーン ガガガガッ!!」

オロチは炎に包まれる

あまりの急激な加速にオロチの駆動系が空回りし

キャタピラーの音が空しく響く

その時炎に包まれていたオロチは急激に煙を立てて

機体を冷却しその細い両腕で副砲の砲身を掴みへし折った

そしてハイブーストでブレードフレーム部分で急速ターンし

DORAGONを完全に粉砕する、タンクの回し蹴りを喰らったのだ







DORAGONを失ったリオレインは脚部の格納シューター

から2丁のアサルトライフルを取り出す

ジャッカルとローは、すぐさま回避行動に移り2体同時に

弧を描く様に回り続けた。

辺りは静寂に包まれる

ブリザードが粉雪に変わった

ジャッカルは金髪の少しヤツレてはいるがいい面構えをしていた

空を見つめ呟く

「雪、白い・・・白いは死・・死は絶対。」



「・・・・・・(こいつ一体にてこずっている余裕はない、奴の装備、

四機のガトリングガンのHAA、それに打って変わって

俺のは瞬間火力の高いアサルトライフルに105ミリキャノン

オロチの装甲をこの火力で即行に貫くしかない)」

コンピューターに会話認識のボタンを押し言った

「リオレイン 俺が奴の予想する進行方向に急速ターンする

その時に105ミリの自動ロックを頼む」

「了解しました。」

リオレインはバーハンドルを全開に切り前輪がリオレインを

急速に方向転換させ、一斉射撃の体勢に入った

折りたたみ式105ミリキャノンが転回しオロチを捕捉し

両腕のアサルトライフルはDVOにより目標を捕捉、

即座に自動ロックした

リオレインの全武器をオロチの移動方向予知システムで

移動地点に一斉射撃

「ウオーーーーーーーーーーーッ」

雄叫びを上げトリガーを引いた

全砲身がバーストする

オロチに向け発射する弾丸

「なにっ、」

急激に加速しその速さは予知システムを超え

雪の爆炎が散り続ける

「・・・・(これが新鋭のハイブースト)」

その加速で180度が目標捕捉域限界のリオレインの性能を知ってか

ほぼ背面に移動、リオレインもすぐに方向修正する

だが遅かった

オロチのHAAはジャッカルの視点で注視た部位を既にロックしていた

四機のHAAガトリングガンが一斉発射する

「古の龍を狩る方法は、心の臓の前に、その龍の玉、かな。」

リオレインのマニュピレーターを集中砲火し両腕を吹き飛ばした

ジャッカルのヘルメットに爆炎の光で赤く染まる

「落ちろ!」

トリガーを引き続けるジャッカル

同時刻消化と本部に連絡作業をしていたハミルトン達

「ズドーン ゴオーーーーーン!!」

遠くで105ミリキャノンの爆音がなりその後どちらかが

大破してもおかしくない程の轟音が鳴り響いた

無線でローに連絡するハミルトン

「こちら警備部隊ハミルトンだ応答しろ、カメ!」

「ザーザザー」

ノイズの音しか聞こえない

「コォーーーーオオーーーーッ」

またAGの低周波音が響く

その時、巨大な細い腕がゲートを突き破った。

破片が飛び散りマニュピレーターには謎の巨大な缶を持ち

その直後缶を握りしめ蛍光の緑の気体が噴射した。

リオレイン起動4.jpg
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