アーマードギア レイキン戦 上 [小説アーマードギア]

辺りに暗い闇が広がる

目を瞑っているのだろうか仄かに光がぼやけて見えてきた

自分は今宇宙の闇の底に一人沈んでいるかのような静寂さと
微かに見える光が上空を染めていた

「おい・・・お前・・生まれはどこだ」

老人の声がする

「俺は誰だ・・・寝ているのか・・・生きているのか・・お前は誰だ」
年老いた声が響いて聞こえる

「黙れ!俺が正しい」
若い男の声が響く

「ローーーッ! 俺はお前を信じてるぞ」
ロー!?

ここはラトラビア国の中央病院

時間はミイラ取り事件の後

カメハメハ・ローは救急ヘリで搬送されてきた

病院の処置室にローは寝ている、他の事件の負傷者も並んで寝ていた

ローは全身打撲の意識不明の状態だった

眼鏡をした医者がローの瞳孔を確認し終えるとその医者は
軍服を着た長身の男イヒト・クローゼと話していた

医者「肝心な頭部への打撲がひどく回復の見込みは低いです、
何か障害やひどい場合意識が戻らず植物状態の可能性も出てきます、
ナノ技術の治療法が頼みの綱ですね」

イヒト「そうですか今後ともよろしくお願いします、
ローはかなり丈夫なほうなので手術や治療への体力も十分と思います」

「イヒトさん全治の可能性が少ないが有るって事か?」
二人の軍服を着たカイとアルテイシアも来ていた

イヒト「あーっ こいつの事だ、また息を吹きかいすだろ」

カイ「こいつがこうもやられるとは、やった奴は信じられない奴だな」

アルテイシア「コードネームジャッカル、火星傭兵リストでヒットしたは
 あの機体からしても有名な傭兵MOB所属対AG戦闘員って事だけ
・・・火星の役員の情報はここじゃ思うように調べられないの」

イヒト「そいつの火星での任務は主に生物兵器対策チームのミッションだな、
しかしここまで来て何をしたかったんだ?」

カイ「奴らOCSを狙ってたが後は何がしたいんだが分んなかったな」

カイ「 ってにしてもお疲れさん カメ、見舞いにきたんだ何か言えよ!」

アルテイシア「こうやって見舞いに来たけど意識が無いんじゃ聞こえもしないんだね」

医者「皆さん時間です彼らの事は私どもにお任せください、
最善を尽くします・・・(この重症な状態からは命を繋ぐだけが精いっぱいか)」

医者と三人が去り夕方から夜になった

しかしローは微動だにしなかった

ローの意識の中にまたさっきの声が聞こえてきた

ロー「俺は カメハメハ ロー」

辺りに砂嵐のような灰色をした世界が広がるそこに
悲惨な顔をして一人立っているロー

やがて地面は赤く染まり砂が巻き上がった
空は灰色のノイズから青く染まり大気を形成した

やがて辺りにでかい煙突の要塞が広がり大量の温暖化ガスが雲をあげていた

ロウの服は赤い迷彩服に防弾チョッキをまとい小銃やナイフも身にまっとっていた

ロー「そうだ 俺の名前はカメハメハ・ロー この地で職を探している!」

ロー「・・・(そしてここは生まれ故郷ナブフレハムと言う町)」

辺りに人が群れをして口には酸素マスクを装着していた

おぼろげに見えていた人の動きがスーッとしっかりとしてきて
気がつくとぼろいコンテナを事務所としたガソリンスタンド近くに
一人ぼーっと立っていた

未来の技術が詰ったの開拓地の様な情景だ

近くのカフェからカントリーミュージックが流れる

7年前火星ナブフレハム州中央区

ロー「まだか奴は どれだけ待たせる・・」

砂ほこりが舞う開拓地にエンジン音が響いてくる

装甲車のエンジン音が少しずつ大きくなってきた

その時一人の男が急に飛び出し、ローを両手で掴んだ

「馬鹿、よせ隠れろ!」

ロー「ヘンリー 遅いぞ!何してた」

顔はイタリア系のヨーロッパ人のような堀の深い顔つきで

髪は黒で日焼けしていた

ヘンリー「いいからまずは隠れろ!」

近くのカフェに二人は隠れた

ヘンリー「マーズラー(旧火星人)だ!」
マーズラーとは旧火星人の事だ、

火星を開拓した機関BOM

火星の重力、空気や紫外線などの環境に合わせた人類を
遺伝子の段階から適用させた人種

しかしその無理に適応させた代償が高く

遺伝障害により性格の偏りや神経組織の異常などがあり

できる職種も限られている

マーズラーは戦闘員に向いているが事務や管理の地位にはなれない

その乱暴なおこないも多く兵士と言う地位を利用して
暴行事件も絶えない、

ヘンリーも過去に目が合っただけで病院送りにされた過去がある

武装した輸送車が急停車して、リアドアが開いた

中から2m30cmはある巨大な武装した兵士二人が現れた

ヘンリー「あいつはベニーとステイン、有名な悪徳兵士どもだ」

ロー「あいつらにどやされた事はある あいつらの前で政治的な批判をして
何人も半殺しにされてる」

「おいまだ追ってくるかガキ!子供だからって甘くはないぜ」

輸送車を追って一人のみだりの乱れた汚いかっこの少女が走り寄ってきた

少女「ぶつかったおばあちゃんに謝れ!」

ベニー「ちょっと邪魔だったから踏んづけただけだろ お前もされに来たか!」

黒い肌をしたマーラーが少女によりあざけ笑うような態度で見下ろす

ロー「やめろほっとけ嬢ちゃん」

レイキン戦 上マーズラ―.jpg

ローはぼろぼろの上着を着た少女を抱え逃げ出そうとする

そこに回り込んでいたマーズラーのステインがローを遮る

ステイン「待てよそこのホウキ、そいつの仲間か?」

ロー「他人だ、だがまだ幼い子供だろ構うなよな」
ローは身構えて言った

ベニー「なんだその口のきき方は
ここいらを統括しているのはだれか解らせようかホウキ頭」

ヘンリー「馬鹿野郎が」

臆病風にふかれ隠れていたヘンリーが二人を助けに行った

ヘンリー「申し訳ございませんが我々もあなた達と同胞である
BOMのはしくれの役員であなた達に敵意はなく、
娘はこちらで言いつけておきますので今回ばかりは見逃して下さい」

ベニー「どこの配属だ 見たところ駆け出しの志願兵だな これからか?」

ヘンリーはいったん唾をのみ大量のひあ汗をかいて答える

ヘンリー「はい もう受理されました 正式に一兵です」

輸送車から中年の男が出てきた

中年「もうよしとけお前ら これから働いてもらう同胞だぞ」

ステイン「ネスさん 解りました」

ステイン「とんだ腰ぬけどもだな、まあいいこんな娘に俺たちが出る幕じゃねえしな」

ベニー「ラッキーだったなゴミ屑ども、じゃあ、ほれ!やれよ、土下座!」

ヘンリー ロー「申し訳ありませんでした」

深く土下座する二人、娘も強引に頭を下げさされた

ベニー「けっ アホラシ、行くぞ」

輸送車が通りを抜け見えなくなた

ヘンリー「なんて屈辱だ」

ロー「にしても良かったな 運が悪けりゃ一生見せられない姿にされるとこだったぞ」

少女「何で止めたのよ!この意気地なし」

少女は礼も言わず走りだして行った
ロー「俺たちはBOMの役員だあ!これからその役員になろうとしてるのに」

ヘンリー「とっさに思いついた、冷汗ビンビンにでたぜ」

ロー「さっきの少女なにか報復したかったらしいが、無謀な行為だな
ぶつかった老女とかは大丈夫か」

ヘンリー「踏んづけたってのは言葉のあやで本当はぶつかっただけじゃないか」

ロー「それより試験に遅れるぞ」

ヘンリー「今回の試験はたやすい、今BOMは領地の開拓と紛争だらけのこの南部では
人員を蓄えたがっている、まず試験と身体測定、面接とも採点は甘い、まず合格だ」

二人は服についた砂を払いバス停に向かった

ヘンリー「さっきマーズラーがネスとか言いやがったな知っているぜ
 ネス・ハワード元GMの人体機器移植部門の総裁だ新聞で見た」

ロー「マッドサイエンティストで名高い奴か」

ヘンリー「噂じゃ患者を実験サンプルと発言したらしい」

ロー「本当か、今はマーズラーと一緒に何してる」

ロー「にしてもいいのかこれから行くのがあの連中の駐屯地だぜ」

ヘンリー「マーズラーがウヨウヨいる巣窟だな」

ロー「俺は戦車仕様のAGの免許を持っているがお前はどうするんだ?」

ヘンリー「どうせ架空の世界でとった免許だろーが 
天才の俺にはどのような任務も即戦力となる為問題ない、
免許は会社の金で受ける為、後だ」

バスから乗客が降り二人はそれに乗った、
バスのプレートに南部100番地行きと書かれている

ヘンリー「それより俺たちはAGの操作系である脳内に
バイオコンピュータを移植してないから、
AGの操作システムのオートコントロールに対応しない、
お前のように旧式のAGを操作するならいいが、
ここいら最近にできたAGには免許は役に立たない」

バスは赤い砂嵐を抜け舗装路についた

ロー「でも兵役はAGの操作だけじゃない医療班や補給係、機動歩兵の兵役もある」

ヘンリー「俺は生まれ変わりたいんだよ巨大な力を得た人間に」

胸のポケットから名刺を出した、さっき会ったネス・ハワードの名前と写真がある

iBR(アイバレーナ社)と記載されている

ヘンリー「ナブフレハムの南部112と住所も書いてあるちょうど駐屯地の近くだ」

ロー「まさかお前そこで移植手術を受けるんじゃあないだろうな」

ヘンリー「あんな体がでかいだけのマーズラー共と
一緒に任務に就きたくないんだ、
そいつらの上にのし上がれるようになりたい、
その為に俺には力が必要なんだ、人が蟻んこみたいに思える力がな」

ヘンリーはバックからサンドイッチを出して頬張った

駐屯地の試験会場に就いた、
灰色のコンクリートの二階建ての長方形のホールが
永遠と続いて建っていた

巨大な格納庫群がありそこから巨大な戦車式のAGが外に出されていた

ロー「あれはレイキンじゃないか!」

AG レイキン.jpg

ヘンリー「でけえ!」

試験は随時実施され他の試験者は数十人足らずだった

元来企業が請け負う兵士は傭兵と言う立場で雇われ、
そこに実力にともった階級が存在した

 全ての部署に共通した階級が有り、
ロー達がもし合格したら当初の階級は三等兵である

まず試験は身体測定から始まった、身長、体重、視力、各体力測定
血液の採取や健康診断もあった

ロー「まあ脚力と腕力なら自信があるぜ ヘンリーお前の華奢な体じゃ無理だろうがな」
笑いながら冗談まみれに言った

ヘンリー「俺は見た目以上にタフだぜ、
お前はマッチョなB級映画を見すぎだ、
それに脂肪じゃないのかなその腹」

ローは筋肉質だったが腹は少し弛んでいた

ロー「ちょい火星牛肉がウマすぎてよ」

、身体測定が終わると次は筆記試験

国語、英語、数学、科学、歴史があった二人は粛々と試験を終わらせ

最後に面接を迎えた

二人を見ていたマーズラーが気がついた今日あったマーズラーの一人だった

ベニー「あいつら役員てのは嘘か!つまみ出してくる」

ネス「待て!特別こちらに呼べ」

地下の施設の階段から現れたネスがマーズラーを止めた

ネス「ひょっとすると使えるかもしれん」

試験官「おいそこの二人お前らの面接場所はこっちだ」

ロー「なんだ俺らだけ違う場所だな」

二人は試験官の後に続き暗い階段を下りて行った

でかくて頑丈な鉄の扉の前についた

マーズラー「よう、また会ったな脳内傭兵」

ヘンリー「ああっまた会いましたね」

二人の顔から血の気が無くなった

ロー「先ほどはすみません嘘をついてあの娘にはちゃんと言い聞かせときましたから」

マーズラー「いいっ、まあ入れ」

扉はマーズラーの網膜でロックが開いた

中は薄暗く一つのライトが何か鎖に繋がれた人を照らしていた

ロー「ああああぁぁっ さっきの娘!」

なんと鎖で繋がれた人は先ほど助けた女の子だった

女の子は下を向いてぶら下がって立っていた

ヘンリー「これはっ・・あなた達いったい何を!?」

ネス「お主らは合格今から仕事を頼む、極秘の依頼だ
この手の込んだ娘のな」

ネスは女の子の肩のぱっくり割れた深い傷から
ファイバー製で筋組織の様な内部を二人に見せた

ロー「これはまさかアンドロイド!?」

二人は目を丸くして言葉を無くした

ネス「正確にはオートマターだそしてお前らの仕事はだなあ」
外伝レイキン戦上 マーズラ―2.jpg
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